行政の新着情報には、制度改正や公募だけでなく、研修動画や取組事例も並びます。同じ「更新」でも、事業者に求められる判断は同じではありません。
情報を集めることと、組織の次の一歩を決めること。その間に、どのような整理が必要でしょうか。
「更新」を三つに分けて読む
Welfare Link Designは、厚生労働省、こども家庭庁、経済産業省、愛知県、名古屋市、岐阜県、三重県の公式情報を、事業運営と組織支援の視点から確認しています。
確認した情報は、おおむね次の三つに分けて考えています。
- 新たな対応義務につながる制度の改正
- 期限のある補助金・委託の公募や事業者の募集
- 既存の制度を現場で理解し、活かすための資料(研修動画、事例、手引きなど)
一つ目と二つ目は、期限や義務があるため、気づいたときに素早い判断が求められます。三つ目は急ぎの対応を求めるものではありませんが、組織の取組を見直すきっかけになります。
この記事では、確認した情報のうち三つ目にあたる例として、愛知県の「治療と仕事の両立支援」を取り上げます。
愛知県の「治療と仕事の両立支援」から学べること
愛知県の「治療と仕事の両立支援」のページは、2026年10月29日更新と表示されています。同ページには、2026年度に開催された企業向け「治療と仕事の両立支援セミナー」の動画が掲載されています。
動画では、基調講演「これからの職場づくりに役立つ治療と仕事の両立支援」に加え、株式会社コラボスタイル(情報通信業・建設業)と株式会社三恵シーアンドシー(製造業)の取組が紹介されています。
2023年度から2025年度のセミナー動画や、企業の取組事例をまとめた冊子も、同じページから確認できます。
2026年度の動画で紹介されているのは、福祉以外の業種の事例です。それでも、治療を続けながら働く人をどう支え、職場としてどう調整するかという問いは、福祉・介護・教育の分野にも通じます。
公式資料:愛知県「治療と仕事の両立支援」
既存の制度と、今回の情報を分けて考える
制度上の位置づけも確認しておきたい点です。
労働施策総合推進法の改正により、2026年度から、治療と就業の両立を促進するために必要な措置を講じることが、事業主の努力義務となっています。あわせて、厚生労働省は「治療と就業の両立支援指針」(令和8年厚生労働省告示第28号)を定め、2026年4月1日から適用しています。
つまり、愛知県が掲載しているこれらの動画は、新しい義務をつくるものではありません。すでに示されている制度の趣旨を、現場で考えるための手がかりとして読むことができます。
公式資料:厚生労働省「治療と仕事の両立について」
組織として確認したい三つの視点
資料を読んだあと、経営者や管理者は、次の点から自組織の取組を見直すことができます。
- 相談の入口:治療と仕事の両立について、職員は誰に、どのように相談できるか。
- 調整の進め方:本人の希望と治療上の事情を踏まえて、業務内容や働き方を検討する手順があるか。
- 情報の取り扱い:病状や治療の情報を、本人の意思とプライバシーに配慮して、誰がどこまで扱うか。
すべての事業所に当てはまる一つの正解があるわけではありません。規模や職種、勤務形態によって、実行できる方法は異なります。
新しい仕組みを増やす前に、今ある相談や勤務調整の仕組みが機能しているかを確かめることも、一つの出発点です。
今後、重点的に確認する情報
Welfare Link Designでは、東海3県を中心に、企業向けの両立支援事業、家族介護者支援に関する委託公募、医療的ケア児・者の支援体制の整備などを注視しています。
今後も、新たな募集や制度の確定情報と、既存制度の理解を深める資料とを分けて整理します。情報を知るだけで終わらせず、現場の知恵と経営の判断を結びつけていくことを大切にしています。
一次資料
情報確認日:2026年10月30日